『道典』とは何か

天下の大勢を知る者には、天下の生気有り。

天下の大勢に暗い者には、天下の死気有り。

－『道典』5:259:20－

今日の人類は、古い時代を送って新しい時代を迎えるべき変化の真っただ中に立っています。これは、新しい天地と新しい文明を開き、新しい人間を誕生させるための変化を予告するものであります。

今の時代は堕落した物質文明が世の中を支配し、人間の心性は偽善と対立でまだらになっています。また、生態系の破壊と異常気候などによる自然災害は人類の営みを脅かしています。今は、宇宙が夏から秋に移り変わる開闢(天開地闢)状況であります。この時を、「秋開闢期」または「後天開闢期」と言います。

100余年前、上帝様(父なる主)は、古今東西にその誰も説破したことのない「後天開闢」の知らせを人類に伝えました。後天開闢は、宇宙の根本的な大転換を伝える衝撃的な思想です。自然開闢・文明開闢・人間開闢の要素を一括している後天開闢は、天・地・人の三界だけに限らず、神明界までをも包括する広大で玄妙な思想であります。

それだけではなく、大自然の神秘と人類文明史の秘密を解き明かし、東西の宗教と哲学の限界を超克する解決策をも提示しています。そしてこの開闢の真理は、彼の宗統継承者である太母様によって広められました。

韓国語道典の初版は、上帝様の聖誕122周年になる1992年10月25日に刊行されました。これは、20年もの長い期間にわたって、現場踏査と文献考証、在世時の上帝様と太母様に仕えた聖徒たちの子孫と弟子たちの証言をもとにして作られたものです。それから更に11年間、上帝様と太母様の縁りの地をより綿密に踏査し、多くの証言を照合・検討して天地公事が行われた場所と時間、地名、人名などを正し、修正と補完を重ねたうえで「韓国語道典」の改正版が出たのです。

一方、外国語版の『道典』は、「韓国語道典」初版を底本として訳したものに、2003年刊行された「韓国語道典」改正版の一部を抜粋・追訳して補完したものです。このように、『道典』は30余年にわたる血と汗を流した努力の結晶体であり、甑山道文化の結実であります。

『道典』には、甑山上帝様と太母高首婦様のお言葉と行跡が仔細に書いてあります。人類の新しい文化を開く新しい真理の教科書である『道典』は、総11編からなっています。ここには、上帝様と太母様は如何なる方なのか、宇宙はどんな原理で変化するのか、上帝様と太母様はどんな事をなさったのか、誰がどのように上帝様と太母様に従ったのか、果して神は存在するのか、修行とは何であり、何故人間は修行をしなければならないのか、私たちはどのようにして現代文明の限界を克服すべきなのか等々の内容と、人類歴史の成り行きと未来の世界について書いてあります。

そこで、私たちは『道典』を通じて、上帝観、宇宙観、人間観、神観、太乙呪の修行観、歴史観(天地公事)、救援観(秋開闢の実際状況)、首婦観(宗統観)、天下事の働き手観といった甑山道の8大核心思想を理解することが出来るでしょう。『道典』には、新しい天地に新しい文明社会を建設する後天開闢の青写真が入っており、全人類がこれから迎えるであろう新しい世の中の創造的なビジョンが入っています。『道典』は今を生きる人類に贈る上帝様と太母様からの新しい真理のメッセージであり、新しい生命の法典、即ち新しい文化を開く手引きであります。

『道典』は、悲しみ、苦痛、涙で染められた絶望の便りではなく、未来への喜びと希望の便りを生々しく我々に届けてくれる人類の経典であります。ところが、『道典』に盛られてある聖なる真理を正しく認識するためには先ず、上帝様と太母様のことをよく理解しなければなりません。